ずっと自分の中に閉じ込めていたもの(直接会う人に話す事はあったけれど)を、もう関係していた人もみんな残念ながらいなくなってしまい、時効かなと思い記しておきたいと思います。
一人のアイドルヲタとしていつも願う事は、アイドルである女の子たちに真っ直ぐであって欲しいということ。ひたむきに真っ直ぐに自分の目標なり夢に向かって進んで欲しいことを切に願う。アイドルとしてだけではなく、人間として滲み出てくるものがアイドルというケープを被って輝く瞬間が観たい。そんな個人的な願いが、いかにひとりよがりで身勝手で楽観的な事かと思い知らされた出来事。
数年前、とあるグループアイドルのライブが終わり、ステージを充分に楽しんだ僕はその後の物販に並んでいた。そこの現場では物販は個別制になっていて、誰かにサインをしてもらうには現金で購入したチケットをメンバーに渡す必要があった。よくあるパターンですね。この時はサインしてもらうものは自由。私物でもなんでもOK。ただ、その日は売りだされたばかりの写真がけっこういい出来だったのでそれを買って物販に並んでいた。
まずは1人のメンバーに並んで写真とチケットを渡してサインをしてもらっている間ライブの感想やたわいもない話をして楽しい時間を過ごした。次に2人目のメンバー列に並び同じく写真とチケットを渡してサインしてもらっていた。どんどん楽しくなっちゃってさぁ次は誰かなぁなんて考えながらこの日3人目の子に行き写真とチケットを渡した。すると、サインチケットの方を返された「えっ、公式の写真だからチケット要らないですよ~」えっ?ちょっと固まってしまった。いったいどういうことなんだろう。前に物販にいった子の方をふと見たらこっちの会話の様子を見ていたようで、僕と目があって、その子は下に目線を逸らした。
僕は憎いと思った。心底憎いと思った。そのメンバーではなくて、そういう行動をとってしまうような現場を作ってしまった周りの大人たちと我々自身が。
この現場では個別の物販の売り上げがランキング形式に可視化される場所だった。でもそれがどう反映されるかは不透明で。でもそれは確かなランキングだった。メンバーが気にするのも仕方がないのかもしれない。グループである以上その中で競争は避けれらない。でも、そのためにズルはして欲しくない。ましてやヲタからのお金を騙し取るような事を、例えついうっかりだとしてもして欲しくない。そういう事までして、そういう人間になってまでなって欲しくない。
アイドルになったきっかけは、夢はきっと大きい先の事なはず。まだまだ、そこは夢の遥か手前のところ。僕らは綺麗ごとしか言えないけど、少なくともあの子が、こんな現場でアイドルとして競争しなければいけないためそういう事をしてしまう子にならなければならなかったのだとしたら、そんな事ならアイドルになって欲しくない。憎い。今でも僕は憎い。周りの大人たち、そしてその現実から目をそむけた自分自身が。