ももクロちゃんの国立競技場公演、ももクロ春の一大事2014 国立競技場大会~NEVER ENDING ADVENTURE 夢の向こうへ~2日目に行ってきた!千駄ヶ谷駅の改札を抜けた途端に、目の前に溢れるカラフルなモノノフ。既に駅前から完全にももクロ現場の空気。そこから、駅前同様に敷地が入場待ちのモノノフによって占拠された東京体育館の脇を抜けて、大量の人の流れと共に事前認証及びグッズ販売会場である明治公園へ。
当日会場で初めてチケットが発券される事前認証制度。FC会員証を認証して、身分証明を済ますとレシートのようにチケットが印刷されるこの仕組、転売対策の試みとしてはいいんだけど真冬の西武ドームでぎゅうぎゅうの人混みの中で長時間並ぶわ、開演が大幅に押すわで半ばトラウマだったので、かなり早めに会場着いたのですが、そんな西武ドームからの改善あってか今回は待ち時間ゼロで認証を終了。
この事前認証及び物販会場となった明治公園や、会場外のアミューズメントエリアであるテシロパークとして使われた秩父宮ラグビー場、それら会場の合間にある公園で行われていた撮影会や、しおりんが「1番ビックリしたのは国立が隣だったこと」と話した最初のももクリ会場である日本青年館を覆い尽くすモノノフ等、この明治神宮外苑エリア一体がカラフルな色に溢れている様子は異様ながら、楽しいものがあった。そんなエリアをくぐり、本舞台国立競技場へ。個人的には初の国立競技場。
総決算の国立競技場大会
当時の衣装でももパンから始まった、序盤のリリース順セットリスト。ももいろパンチ、未来へススメ!、怪盗少女、ピンキージョーンズ、ミライボウル…その衣装がゆえに色々な思い出と共に国立に響くこれらの曲は染みた…立木文彦本人がステージに立ち生ナレーションで披露されるZ伝説、久々に生のコーラス団を従えての猛烈宇宙交響曲…この前半戦は素直にもう感慨深かった。後半戦のNeo STARGATE⇢BIRTH Ø BIRTHの流れ熱かったし国立で観るBelieveはエモさあって、そして何よりこの後の灰とダイヤモンド!
大量の白い風船が大サビから国立を覆って、既に暗くなった空へと舞い上がっていく光景は本当に圧巻で…隣の人が、ずっと登って行く風船を眺めて「凄い…凄い…」と呟いていたのが印象に残ってる。あの演出は、2日目なのに聖火台を消さなかったことからも、東京オリンピックの開会式の鳩の比喩なのかなと勝手に思っているんだけれど…ひとつひとつの風船の中には種が入っていたとのこと。とにかくあの1曲はずっと鳥肌立ちっぱなし…2013年のももクロちゃんで大好きな曲が、ももクリ西武ドームに引き続きまた素敵な形で観れてよかった。
曲の合間に流れる、今までのももクロちゃんの歴史振り返る映像や、最後にひとりずつメンバーが中央花道を歩く時にスクリーンで流れた過去の映像等…映像だけでなく、セトリから見ても明らかにこのライブは今までの総決算という位置づけられた構成だった。フィナーレの大花火の大円団、これがフェスとかじゃなくたった5人のためだけに上がっている盛大な花火であること…それは綺麗な、嬉しくなる花火だった。最後はかなこに言われた通り、両隣の男のモノノフさんと手を握って半泣きで万歳やったもん。本当に行ってよかったライブだった。特に最後の聖火台でのコメントは凄まじいものがあった。
「悪い大人たち」が越えなければいけない壁
参戦してよかったと思う国立競技場大会だったけど、気になった反省するべき点はあったように思う。最も大きなものはももクロちゃんが必然的に抱えている、ももいろクローバーZは5人しかいないという、こればっかりはどうしようもない問題。
5万5千人のファンをなるべく多く楽しませる事の難しさも感じた公演だった。具体的には、メインステージでの滞在時間が長すぎた事、映像と音のタイムラグが長すぎた事(許容範囲を越えていた。南スタンドからの観覧だったがセンターステージへの視界をブロックしてくれてた柱の上のスピーカーは何をしていたのか)、5人の配置に考慮が無かった事(南スタンド側にはかなこ・あーりんしか来なかった *ももか・しおりん・れにちゃんは一度もソロで近くで観る事はなかった *注:席は当日までわからないのだ)、昇降ソロステージの使い方のいびつさ(高さが不自然に揃っていない、メインステージに置くとより一層遠くなるだけ。西武ドーム時のようにアリーナの中にあるからこそのソロ昇降ステージなのでは)、花道を周る手フリ曲がオレンジノートという選曲(ニッポン万歳は最高だった)、曲の半分を延々とスクリーンに映し出される5人を観て「あなたに逢いたいよ 国立のどこかで」と歌いながら次の曲でそのままメインステージに現れる謎…が気になった。
アイドルちゃんは悪くない!運営が悪いんだ!という種の言い草は好きじゃない。「悪い大人たち」に責任転嫁したいわけじゃない。でも少なくともこれらの問題のほとんどはテクニカルなスタッフ側の問題点であって、5人がどうのこうの出来る話しじゃない。国立競技場の広さをたった5人で、5万5千人ひとりひとりに向かって走り回っていたら、体力がいくらあっても足りないがゆえというのは頭で理解は出来る。5人だけでやる事の意味があるのかもしれない。でも約4時間の公演の満足度を上げるためにも、例えばジャニーズであれば大量のバックダンサーを投入するように事務所の後輩をもっと舞台に立たせる事も充分ありだと思う。今回のように、たった1曲だけ旗を振り回すために出てくるのはあまりに勿体無い。
ももクロちゃん本人らは一生懸命やってるわけで、後はそれをどう「悪い大人たち」が魅せてあげるか。「悪い大人たちはもう壁を作ってくれない」とかなこは言ったけど、そうではなく壁を造りあぐねてるのは他ならない、ももクロちゃんの規模拡大に追いつけていない大人たちではないのか。演出面においてそう考えざるを得ないくらい、様々なところにおいて「雑」に感じる部分が多かった。
これらの大会場でも来場者が満足する仕掛けというのものが、出来ないのであれば日産スタジアム2DAYSの成功は無い。動員的に何も問題が無いのはわかりきっている。でもそんな事は5人は気にしていないはず。それは壁ではない。壁は、大観衆にいかに「笑顔を届けるか」という事ではないか。いかにその場所に来たモノノフにいい体験を持ってかえってもらうかは、もはやセットリストや衣装や、ダンスと歌という問題じゃないという気がした。
「笑顔を届ける」という部分において天下を取るために
かなこが聖火台で行ったスピーチの中の名言。ステージに立つ人として、原点を掘り下げる、本当に素敵な言葉だと思う。それに表されるように、ももクロちゃんのライブは確実に原点回帰を目指す方向にいっていると思う。それは一時の行き過ぎたテレビ的、あるいはプロレス的演出から、きちんと曲を披露していくことを大事にするという、原点のところである。5TH DIMENSIONツアーもGOUNNツアーも形は違えど曲を真ん中に置いている事には変わりないし、ドーム・スタジアムクラスのライブでは変な寸劇も無いし、茶番劇も無い。大きくなっていく中で、紆余曲折しながらステージ上の5人は、少しずつ逆に元の5人の舞台に戻りつつあるように感じたのが、西武ドームからの国立競技場大会だった。
また、オーディエンスについていうと、一時の「モノノフ」を巡る論争なんて遥か彼方に消え去ったように感じる。国立クラスになるともう、モノノフがどうとかもう他のヲタがどうなんてまったく気にならなくなる。濃いヲタも沢山いるけど、ライトな層も沢山いる。見た目こそ、共通の特徴があるかもしれないけど、そこをすべて「モノノフ」で括るのは無理がある。ステージに立つ方も、観る方も、何かニュートラルな状態に近づきつつあるのではないか。
そうなると、残す構成要素は先に述べたももクロちゃんのライブ演出と、楽曲の変化だ。そろそろ「あの大物アーティストが!」とか、誰が歌を作ってくれるとかそういうのから抜けてくれてもいいと思う。
アイドルにとって何を歌うかというのも大事なんだけど、それよりなにより「誰が歌うか」が大事だと思う。5人だからこそ歌う曲を観たいから、大物アーティストが作った曲かどうかというのは、もうみんな飽き飽きしているのではないか。そこからインディーズ時代の楽曲を越える何かが生まれたんだろうか(中島みゆきが書いた曲を初めて聴いた川上さんとキング(レコード)の社長は感動のあまり泣いたというが、こっちは違う意味で泣いた)。恋するフォーチュンクッキーを誰が書いたか、ほとんどの人は誰も知らない。でもその歌詞とストーリーが指原にリンクし、最高のメロディーとアレンジでみんなで踊られた事が波及していった。同じように、ももクロちゃんだからこそ、生まれる、必然性のある歌をまた聞きたい(だから灰とダイヤモンドは染みるし、ももクリ西武ドームに続いて、国立でも重要な役割を担ったのではないか)。
夢の向こうへ / 日産スタジアム2DAYSに向けて
まず日産スタジアム公演を成功させる事が大前提になる。それには、国立競技場より更に広い日産スタジアムで、同じ誤ちを絶対に犯してはならない。有安が国立公演直後のオールナイトニッポンで、次はどんなライブがしたいか?という問いかけに静かに、テンション低めで「もう1回国立がしたい」と言ったのは、きっとまだまだ出来る事があるのをわかっていたから。さすがなんで有安と思ったわけですよ。国立競技場はもう4ヶ月後に解体される。再び同じ舞台に立つのが無理なことはわかってる。でも、もう一度やりたいと言ったのは、新国立競技場への想いからではなく単純に満足がいってなかったのではないか、とその声を聞いた時に思った。
それがステージ演出、楽曲なのか、何が正解かは自分もわからない。ただ、今後もしかしたら待っているかもしれない5大ドームツアーであったり、大きな箱での魅せ方を5人が創りだす事が出来ること、そこが本当の「夢の向こう」になるのではないか。メディアの中だけではなく、より多くの、今まで少人数の女性グループが成し得なかったレベルの規模で継続的なライブ活動を行い続け、より多くの笑顔を届けるということ。頂点と、夢の向こうはそこにしかないんじゃないのか。そして今の日本で最もその位置に近い少人数の女性グループはももいろクローバーZに他ならない。
ももクロちゃんは売れたとはいうけど、だから何もかも安泰かと言うとそんな事は絶対なくて、実験的だった5TH DIMENSIONツアーからの賛否両論の夏の日産スタジアム。素晴らしいライブを披露してくれた2013年のももクリ、そして今回の国立競技場。売れたその先で、試行錯誤しているその姿を可能な限り観ていたいと思ったし、多分細々ながら自分は現場に足を運べればと思ってる。
改めて凄いことだと思うんですよね、2008年の代々木公園の路上ライブから始まって、全国のヤマダ電機を回っていたグループが、あかりんが抜ける前の6人体制になってからたった5年で、日本の音楽史上初めて女性グループとして国立競技場の舞台に立っている事実。そういったグループがこの時代に生まれて、国立競技場が取り壊される4ヶ月前のタイミングで辿り着いている状況に立ち会えるこの奇跡。こんな事ってなかなか無いと思う。
「なんで未だにももクロ行ってんの?」とよく言われるけど、やんちゃをしていたこの5人がどこまで行くのか、観ていたい気持ちはやっぱりどこかであるし、こんな大舞台に連れてきてくれるのはこの5人以外にいなかったし、そこが、自分にとっても5人にとっても観たことが無い景色というのは幸せな事だと思うから、なかなかチケットは取れないけどなるべく観たい。
夢の向こうへ、頂点の更にその向こうへ。
ももクロちゃんの「笑顔を届ける」旅はまだまだ続く。