先日
ある記事にアイドルのバスツアー体験が書いてあったので、先日とあるバスツアーに参加したという方に話を聞いてみたが、やっぱり悲惨だったようだ。今回はその取材の内容をお伝えする。
ブームに乗って、さまざまな形で企画されているアイドルバスツアー。大好きなアイドルと一緒にバスに乗り、同じ空間をともにできるとあって、コアなファンたちからは人気を集めている。まだデビューして1年も経たないアイドルともなれば、参加するファンの数も少なく、普段のライブでは見られない姿を拝めるとあって、一部ファンからは垂涎モノのイベントというわけだ。
そんなアイドルバスツアーに参加したという我梨馬さん(仮名・32歳)は「地獄でした」と話す。そこで、我梨馬さんが参加した東京を本拠地に活動する某アイドルのバスツアーの詳細を聞いた。
「朝8時半に東京駅に集合し、ファン50人とアイドル6人、そして事務所関係者の方々でバスに乗り込み、群馬県で行われるライブや撮影会イベントに一緒に行くという企画でした。アイドルと身近で話せると思って参加したんですが……本当に大変でしたね」
行き先は群馬県の某温泉地。片道3時間のアイドルバスツアーでまず行われたのは、アイドルのファッションチェック。続いて、カラオケ大会だったという。
「最初はアイドルの歌が身近で聞けるので、楽しかったのですが、想像してみてください。狭い車中で、自分の頭越しにアイドルと後ろに座るオッサンがワッショイワッショイ(曲に合わせて\あーワッショイワッショイ/とコールを入れるもの、主にJITTERIN'JIN『夏祭り』のカバーで使われる)する様を。いつもはとても大人しい現場なので本当に異様な光景で、どれだけみんな普段このグループの世界観を大切にしているのかと。続いて始まったのが、盛り上がってきたオッサンとアイドルたちのカラオケタイム。オッサンがアイドルの要望に応えてマイクを握り、オッサンが歌う…アイドルの目の前でカラオケを歌う…もう出発してすぐに力を使い果たした気持ちになりました」
カラオケ大会も終わり、ホッとしたのも束の間。今度はアイドルたちと一緒に行うチーム対抗運動会。本来、好きなアイドルが近くに来て一緒にスポーツを楽しめるのだから、嬉しいはずだ。だが、相手は中学・高校生。穏やかに進むかと思いきや超真剣勝負。勝ちたい気持ちが強くなり、真剣になり過ぎるあまりアイドルとの激しいぶつかり合いも。時にはアイドルが出場せずファンだけで競り合う場面まで。あまりに必死になり、身体はもう朝からボロボロの悲惨な状態。楽しい時間を過ごすどころか、ただ一生懸命部活顔負けの情熱で、たくさんの汗をかく事になったという。そんな中で一緒に話す場面はたくさんあったという。
「中学・高校生との会話って短い時も楽しいんですが、長くなっても本当に楽しいことがわかりました。こちらから中学生に聞くことなんてなくても、向こうが話してくる内容は『明日のテストどうしよう』とか『今度、学校でテストがあるんだあ』とか。32歳の僕が何を話せばっていうんですか。そんな話を振られて、勉強を教えられる学力も勉強の記憶も僕にはない!ずっと頷くだけでしたね。でも、一番辛かったのは、ガチ恋派が突然、アイドルに求婚し始めたことです」
途中、バスを降りて撮影会のためにお城の周りを駆けまわっていたときのことだ。心身ともに疲れきった我梨馬さんは、重い腰を上げながらなんとかカメラ片手に撮影の猛者たちと奮闘してシャッターを切っていた。すると、アイドルとファンの大きな声での会話が聞こえてきたという。
「前の方で高校生のアイドルに『◯◯ちゃん結婚しよう!』って20代後半ぐらいの100%草食系のガチ恋派男性が求婚しているんですよ。それを巧みに高校生アイドルがかわしているんです。『おい、いい加減にしろ!』ってたまにヘッドロックをして制止して遊んでいましたが、楽しかったですね、とても愉快な若者で。20代後半が高校生アイドルに撮影しながらマジ求婚するという現場を初めて目撃しました」
3時間かけて到着した群馬県の某公園に設営されたイベント会場。そこで、ラジカセを使ったライブが開催されたわけだが、到着までに精根尽き果てた我梨馬さんも、ライブは楽しむことしかできなかったという。
「ライブ会場といっても、お城の前の野外の広場を借りて行うものでした。ファンは東京から来た50人のみ。あとは、旅行や結婚式用の写真を撮りに来ている地元のカップルばかりだが、閉園間際になってほぼ貸し切り状態。そんな中で、ライブを見て写真撮ったり手拍子したり…最高の雰囲気でしたね…帰りのバスの中は、ファン全員爆睡するどころか、寝かせてくれない勢いでメンバーが盛り上げてくれていましたね」
一体なにが地獄だったのかよくわからないが、どうやら悲惨だったのはボロボロになった体力と筋肉痛に苦しむ身体だけだったようだ。このアイドルバスツアーで「自分は本気でアイドルを好きすぎるのかもしれない」という想いにかられたという我梨馬さん。まだ言いたいことがありそうな我梨馬さん「俺◯◯ちゃんの事が好きすぎてどうしていいかわからな…ブツブツ」。。。どうやら気軽な気持ちでアイドルバスツアーに参加すると、ますますアイドルを好きになっていってしまうということか。
※参考:
38歳が「中学生アイドルのバスツアー」に参加したら悲惨だった | 日刊S PA!