ごく普通の、閑静な住宅街を歩いていた。
塀の上に小学生くらいの女の子と男の子が
道に対して背を向けて並んで座って
手元になにかを置いて遊んでいるようだった。
2人の肩の間からそれを覗き込むと、
男の子が手に持った1万円のくしゃくしゃになった札束が燃えていた。
僕に気付き振り返る2人
無表情に僕の目をみつめる
何もしゃべりやしない。
「(わたしたち何か悪いことしてるの?)」
「(僕たち普通に遊んでいるだけだよ)」
そのまま道を真っ直ぐ歩いていると、
いつのまにか岩だらけの急な斜面にいた
振り返るとさっきの町が遥か遠く、下に見える
ぼろぼろの汚れたのTシャツを着た少女が
軽やかに岩の間を飛び跳ねている
手には燃えているしわだらけの汚れたお札
一枚一枚、火をつけては町に向けて投げつけている
「(アハ、アハ、アハハハ)」
僕は少しづつ少女に近づく
火のついたお札が危ないので
少しづつ、岩の影に隠れながら忍び寄っていく
彼女はとっくに僕に気付いているようで、
少しづつ山を登って離れようとする
「(アハハ、アハハハ、アハハ、アハハハハハハ)」
でも僕は少しづつ距離を詰めていき、
降りかかってくる燃えるお札をよけながら
ようやくすぐ側の岩陰にたどり着き
立ち上がって少女のほうを向くと
彼女が手に持ったピストルの銃口と目があった